大学進学を機に遠方で部屋を借りるとき、「重要事項説明を受けるためだけに、もう一度不動産会社へ行く必要があるのだろうか」と疑問に思う学生や保護者もいるでしょう。
IT重説とは、ビデオ通話などを利用して、宅地建物取引士からオンラインで重要事項説明を受ける方法です。物件や不動産会社の対応状況によっては、仙台へ再度移動せず、自宅などから説明を受けられます。
ただし、オンライン内見、IT重説、電子契約はそれぞれ別の手続きです。IT重説を受けただけで、すべての契約手続きが完了するわけではありません。
この記事では、大学生と保護者に向けて、賃貸のIT重説に必要なもの、当日の流れ、スマートフォンで受ける際の注意点、説明中に確認したい契約条件を分かりやすく解説します。実際の進め方や必要書類は不動産会社や契約内容によって異なるため、案内された書類もあわせて確認してください。
IT重説とは?
IT重説とは、パソコンやスマートフォンなどの映像・音声を使い、宅地建物取引士からオンラインで重要事項説明を受ける方法です。国土交通省は、IT重説を対面による重要事項説明と同様に扱える仕組みとして案内しています。
重要事項説明では、借りる物件の権利関係、設備、契約期間、解約条件、禁止事項など、契約するか判断するうえで大切な内容が説明されます。単に書類を読み上げてもらう時間ではありません。疑問があれば、その場で質問して内容を理解してから次の手続きへ進むことが大切です。
また、IT重説と重要事項説明書などの電子提供は別の仕組みです。書面を電子データで受け取る場合は、利用する方法やファイル形式などの説明を受け、事前に承諾する手続きがあります。電子提供に対応していても、紙での受け取りを希望できる場合があるため、不動産会社へ相談しましょう。
詳しい制度は、国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」でも確認できます。
オンライン内見・IT重説・電子契約の違い
オンラインで行う賃貸手続きには、主に次の3つがあります。
| 手続き | 目的 |
|---|---|
| オンライン内見 | 室内や共用部分を画面越しに確認する |
| IT重説 | 契約前に重要事項の説明を受ける |
| 電子契約 | 契約書を電子データで確認・締結する |

オンライン内見は、担当者が現地から映像を送るなどして、部屋の広さや設備、共用部分を確認する方法です。IT重説は契約条件の説明を受ける手続きであり、電子契約は契約書を電子的に取り交わす手続きです。
そのため、「オンライン内見を受けたから契約が完了した」「IT重説が終わったから電子契約も完了した」とは限りません。どこまでオンラインで対応できるのか、署名や提出が必要な書類は何かを事前に確認しましょう。
関連記事:オンラインで部屋を確認する際の注意点は「オンライン内見でも大丈夫?」で詳しく解説しています。
大学生がIT重説を利用する利点
遠方から進学する大学生にとって、IT重説には次のような利点があります。
- 重要事項説明のためだけに仙台へ移動する負担を減らせる
- 学生と保護者が同じ説明を聞きやすい
- 授業、入学準備、仕事などに合わせて日程を調整しやすい
- 自宅で落ち着いて契約内容を確認できる
特に東北大学の新入生のお部屋探しでは、学生と保護者が別の場所にいることや、短期間で申込みから契約まで進むことがあります。保護者が費用を負担する場合は、契約条件や初期費用を一緒に確認できると認識のずれを防ぎやすくなります。
国土交通省も、遠隔地の物件を借りる場合に、移動時間や交通費の負担を軽減できることなどをIT重説の利点として案内しています。国土交通省「個人のお客さま向け情報」
ただし、すべての物件や不動産会社が同じ方法に対応しているわけではありません。対面説明とIT重説のどちらを選べるか、保護者が別の場所から同席できるかも事前に確認してください。
IT重説を受ける前に準備するもの
一般的には、次のものを準備します。
- スマートフォン、タブレットまたはパソコン
- 安定したインターネット環境
- カメラ、マイク、スピーカーまたはイヤホン
- 重要事項説明書
- 不動産会社から事前に送付された資料
- 筆記用具とメモ
- 本人確認書類
- 不動産会社から指定されたアプリ
必要な端末、アプリ、本人確認書類は不動産会社によって異なります。URLを開くだけで参加できる場合もあれば、事前のアプリ登録や動作確認が必要な場合もあります。
重要事項説明書を電子データで受け取ったときは、ファイルを問題なく開けるか、全ページを読めるか、保存できるかも確認しておきましょう。スマートフォンで参加する場合は、書類を印刷するか、書類表示用の別端末を用意すると確認しやすくなります。
IT重説を受ける流れ
IT重説の一般的な流れは次のとおりです。
- 不動産会社と日時を決める
契約者が参加できる日時を調整します。保護者も参加したいが一緒に住んでいなかったり、仕事で席を外している場合は、別の場所から接続できるか確認します。 - 重要事項説明書などを受け取る
IT重説の開始前に書類を受け取り、開けることと内容を確認します。電子提供か紙の送付かは、不動産会社の案内に従います。 - 通信・映像・音声を確認する
お互いの映像と音声が途切れず、説明に必要な画面や書類を確認できるかテストします。 - 宅地建物取引士証を画面で確認する
説明を担当する宅地建物取引士が、取引士証を画面に提示します。氏名や顔写真などを確認できない場合は、画面を近づけてもらうなどして対応します。 - 重要事項の説明を受ける
手元の重要事項説明書を見ながら、物件と契約条件の説明を受けます。 - 分からない内容を質問する
専門用語や費用、解約条件など、不明な点は遠慮せず確認します。 - 説明終了後、契約手続きへ進む
IT重説の終了後、契約書への署名・電子署名、必要書類の提出、契約金の支払いなどへ進みます。手続きの順序は契約によって異なります。

契約全体の流れや注意点は、関連記事「初めての賃貸契約で注意するポイント」もあわせて確認してください。
説明中に確認したい項目
重要事項説明では、少なくとも次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 主な確認内容 |
| 家賃・共益費・その他の月額費用 | 毎月支払う合計額、支払方法、支払日 |
| 契約期間と更新条件 | 契約の始期・終期、更新料、更新手続き |
| 解約予告期間 | 退去の何か月前までに連絡が必要か |
| 短期解約違約金 | どの期間内に解約すると、いくら必要か |
| 退去時の費用 | クリーニング特約、原状回復、精算方法 |
| 鍵交換費用 | 金額、負担者、交換や設定の内容 |
| 24時間サポート | 加入条件、費用、無料対応の範囲 |
| 禁止事項 | 楽器、喫煙、ペット、同居、転貸など |
| 設備と残置物 | 貸主が修理する設備か、修理対象外の残置物か |
| 入居可能日 | 鍵を受け取り、実際に入居できる日 |
IT重説では、説明を聞くだけでなく、重要事項説明書に記載された費用や契約条件を自分でも確認することが大切です。具体的にどこを確認すればよいかは、「大学生の賃貸契約|重要事項説明書で必ず確認したい10のポイント」で詳しく解説しています。
口頭で聞いていた条件と書類の記載が異なる場合は、そのまま進めず確認してください。説明内容を理解できないときは、「この費用は毎月かかりますか」「途中解約では何が必要ですか」のように具体的に質問すると確認しやすくなります。
鍵交換費用と24時間サポートについては、関連記事「大学生の賃貸契約で鍵交換費用はいくら?」と「大学生の賃貸契約で24時間サポートは必要?」で詳しく解説しています。
スマートフォンだけでも受けられる?
IT重説は、スマートフォンだけでも受けられる場合があります。ただし、画面が小さいため、宅地建物取引士証、重要事項説明書、共有画面を十分に確認しにくいことがあります。通話画面と電子書面を1台で切り替える必要があると、説明についていきにくくなる点にも注意が必要です。
可能であれば、画面の大きいパソコンやタブレットでビデオ通話に参加し、手元に紙の書類を用意する方法がおすすめです。スマートフォンを使う場合も、事前に書類を印刷するか、別の端末へ表示しておくと確認しやすくなります。
国土交通省のハンディガイドでも、小さな画面で取引士証などを十分に確認できない場合は、必要に応じてパソコンを用意する対応が示されています。国土交通省「書面電子化・IT重説マニュアル ハンディガイド」
学生本人と保護者のどちらが受ける?
誰がIT重説を受ける必要があるかは、契約名義や不動産会社の手続きによって異なります。
学生本人が契約者の場合
学生本人が契約者であれば、本人が説明を受けます。未成年の場合や保護者の同意が必要な場合を含め、具体的な参加者や提出書類は事前に確認してください。
保護者が契約者の場合
保護者が契約者で、学生本人は入居者となる契約もあります。この場合、誰に重要事項説明を行うか、学生本人も参加する必要があるかは、不動産会社の案内に従います。
保護者も一緒に説明を聞く場合
学生本人が契約者でも、初めての一人暮らしであったりするため保護者が一緒に聞きたいことがあります。同じ場所で参加するのか、別々の端末から参加できるのかを不動産会社へ相談しましょう。
東北大学の新入生のお部屋探しでは、現役で合格した方は高校卒業前後に契約手続きを進めることが多いため、18歳以上で成人している場合でも、保護者と一緒に重要事項説明を受けるケースが多く見られます。家賃や初期費用を保護者が負担する場合は、解約条件、違約金、退去時の費用などを学生本人と保護者の双方で確認しておくと、入居後の認識のずれを防ぎやすくなります。
ただし、保護者の同席が必須かどうか、学生と保護者が別々の端末から参加できるかは、不動産会社や契約方法によって異なります。参加方法はIT重説の日程を決める際に確認してください。
契約者本人が参加できない場合
家族が代わりに聞けばよいと自己判断せず、日程変更や参加方法を相談してください。
名義の決め方は、関連記事「賃貸契約の名義は学生本人と保護者のどちら?」で詳しく解説しています。
IT重説を受けるときの注意点
通信が切れたら無理に続けない
映像や音声が途切れ、説明内容を十分に確認できない場合は、その場で伝えましょう。通信環境を整えて再開する、別の端末へ変更する、日程を改めるなどの対応を不動産会社と相談します。
分からない部分をそのままにしない
重要事項説明には、解約、違約金、修繕負担など、入居後や退去時に影響する内容が含まれます。理解できない言葉や条件は、説明中に質問してください。
書類を事前に読んでおく
説明前に書類へ目を通し、質問したい箇所に印を付けておくとスムーズです。事前に聞いていた家賃や初期費用と違いがないかも確認しましょう。
画面や音声に問題があれば伝える
宅地建物取引士証の表示が見えない、書類のページが分からない、音声が聞き取りにくいときは、遠慮せず説明を止めてもらいます。
録画・録音は無断で行わない
説明内容を残したい場合でも、相手に無断で録画・録音しないようにしましょう。個人情報が含まれる可能性があるため、希望するときは事前に可否とデータの扱いを確認してください。
IT重説と契約成立を同じものと考えない
IT重説は重要事項の説明を受ける手続きです。いつ契約が成立するのか、申込みを取りやめた場合に費用が発生するのかは、申込状況や契約手続きによって判断が異なります。署名や支払いを行う前に、不動産会社へ確認してください。
電子書面を保存できる場所を決めておく
電子データで受け取った重要事項説明書や契約書は、端末の故障や機種変更で失わないよう、バックアップできる場所へ保存しましょう。必要な期間、内容を表示・印刷できる形式かも確認しておくと安心です。
IT重説でよくある質問
Q.IT重説は断れますか?
対面で重要事項説明を受ける方法もあります。IT重説を希望しない場合は、不動産会社へ早めに伝え、対面で対応できる日時や場所を相談してください。物件や不動産会社の運用、契約日程によって対応方法は異なります。
Q.スマートフォンだけでも受けられますか?
スマートフォンに対応している場合があります。ただし、画面が小さく、取引士証や書類を確認しにくいことがあります。使用できる端末やアプリを確認し、可能であればパソコンやタブレット、印刷した書類も準備しましょう。
Q.保護者も一緒に参加できますか?
同席できる場合があります。学生と保護者が別の場所から接続したいときは、参加用URLの扱いや本人確認の方法が異なる可能性があるため、事前に不動産会社へ相談してください。
Q.IT重説にはどのくらい時間がかかりますか?
物件、契約条件、質問の数によって異なります。時間を一律に断定することはできないため、不動産会社へ予定時間を確認し、前後に余裕を持って参加しましょう。
Q.説明後に契約を断れますか?
IT重説を受けた時点と契約成立の時点が常に同じとは限りません。一方で、申込みや署名、支払いなどの進行状況によって、取りやめの扱いが異なる可能性があります。契約を進めないと判断した場合は放置せず、すぐに不動産会社へ連絡し、費用や手続きについて確認してください。
Q.重要事項説明書は紙でもらえますか?
書面の電子化後も、紙での交付は可能とされています。ただし、送付方法や受け取り時期は不動産会社によって異なります。紙を希望する場合は、IT重説の日程を決める前に相談しましょう。
Q.通信が途中で切れた場合はどうなりますか?
説明を十分に聞けない状態で無理に続けるのではなく、いったん中断し、通信を復旧してから再開することが考えられます。復旧できない場合の再実施方法も含め、不動産会社の指示を確認してください。
まとめ
IT重説は、ビデオ通話などを利用して、宅地建物取引士からオンラインで重要事項説明を受ける方法です。遠方から進学する大学生や保護者にとって、移動の負担を減らしながら契約条件を確認できる選択肢になります。
最後に、重要なポイントをまとめます。
- IT重説は、重要事項説明をオンラインで受ける方法
- オンライン内見や電子契約とは別の手続き
- 事前に重要事項説明書、端末、通信環境を確認する
- スマートフォンでは書類や取引士証が見づらい場合がある
- 分からない条件は、契約前に質問して確認する
IT重説の方法、参加者、必要書類、電子書面の提供方法は、不動産会社や契約内容によって異なります。実際に交付された書類を読み、不明点を残したまま署名や支払いへ進まないことが大切です。

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