賃貸の床の傷・へこみは誰が負担する?退去時の修繕費と確認ポイント

賃貸の床の傷とへこみを確認する東北大学生のイラスト 原状回復・修繕費

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賃貸物件から退去するとき、床の傷や家具のへこみを見つけて、「修繕費を請求されるのでは」と不安になる学生や保護者の方もいるでしょう。

しかし、床に傷やへこみがあるからといって、すべて入居者負担になるわけではありません。

通常の生活で生じた傷みや、時間の経過による劣化は、原則として貸主側の負担と考えられます。一方、家具を引きずった傷や、飲み物を放置してできた染みなどは、入居者負担になる可能性があります。

この記事では、東北大学生の一人暮らしで起こりやすい事例を交えながら、床の傷・へこみの負担区分や、全面張り替えを請求された場合の確認ポイントを解説します。

賃貸の床の傷はすべて入居者負担になる?

賃貸物件の原状回復は、入居時とまったく同じ状態に戻すことではありません。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による損耗や経年変化は、原則として貸主側が負担するものとされています。

賃貸の床について貸主負担になりやすい傷みと入居者負担になりやすい傷を比較した図
床の傷は、傷の有無だけでなく原因や使用状況から負担区分を判断します

一方、次のような原因で床を傷めた場合は、入居者負担になる可能性があります。

  • 故意に傷をつけた
  • 不注意によって床を破損した
  • 清掃や手入れを怠り、被害を広げた
  • 通常とはいえない使い方によって床を傷めた
  • 床の異常を知りながら管理会社へ連絡せず放置した

判断するときは、傷があるかどうかだけでなく、「何が原因で、どの程度の傷が生じたのか」が重要です。

例えば、学習机やベッドを通常の方法で置いたことによるへこみと、引越し作業で家具を引きずってできた深い傷では、負担の考え方が異なります。

原状回復の基本的な考え方については、次の記事もあわせてご確認ください。

▶【関連記事】原状回復ガイドラインとは?学生にも分かりやすく解説

貸主負担になることが多い床の傷み

ここでは、通常の生活によって生じたものとして、貸主負担になることが多い床の傷みを紹介します。

ただし、実際の負担区分は、傷の程度や原因、床材、使用方法、賃貸借契約書の内容などをもとに個別に判断されます。

日常生活による細かな傷

通常の歩行や日常生活によって生じた軽微な擦れや細かな傷は、通常損耗として貸主負担になることがあります。

人が生活している以上、床をまったく傷めずに使用することは困難です。そのため、年月の経過とともに生じた軽微な傷まで、当然に入居者負担になるわけではありません。

ただし、一か所に深い傷がある場合や、保護せずに同じ場所を繰り返し傷つけた場合は、通常損耗とは認められない可能性があります。

▶【関連記事】賃貸の通常損耗とは?学生が負担しなくてよい傷・汚れを具体例で解説

家具を通常設置したことによるへこみ

学習机、ベッド、本棚などを通常の方法で設置したことによる床のへこみや家具跡は、一般的に通常損耗と判断されることがあります。

冷蔵庫や洗濯機など、生活に必要な家電を所定の場所へ通常設置したことによる跡も、同様に貸主負担となる可能性があります。

ただし、次のような場合は判断が変わることがあります。

  • 冷蔵庫の下に水分や汚れを長期間放置した
  • 洗濯機の水漏れに気づきながら対応しなかった
  • 家具の鋭い脚によって床を深く傷つけた
  • 家具を引きずって移動した
  • 家具の転倒や落下によって床を破損した

家具を置いたこと自体ではなく、設置方法や入居中の管理状況が確認されます。

日焼けや自然な変色

窓から入る日光による床の日焼けや、年月の経過による自然な変色は、一般的に経年変化として貸主負担になります。

家具を移動したとき、家具の下と周囲で床の色が違っていても、日光による自然な色の差であれば、直ちに入居者負担になるとは限りません。

一方、薬品、インク、飲み物などをこぼしたことによる変色は、自然な日焼けとは区別して判断されます。

建物や床材の経年劣化

床材の自然な摩耗、接着部分の剝がれ、建物の構造や床材の老朽化によって生じた不具合は、経年劣化として貸主側が対応することが多いでしょう。

ただし、床の浮き、沈み、剝がれなどを発見しながら放置し、被害が広がった場合は、入居者の管理不足を指摘される可能性があります。

原因が分からない床の変色や水濡れ、歩くと沈む箇所などを見つけた場合は、写真を撮り、早めに管理会社や貸主へ連絡してください。

▶【関連記事】賃貸の経年劣化とは?通常損耗との違いと入居者負担にならない例を解説

入居者負担になりやすい床の傷・汚れ

入居者の故意・不注意や、清掃・手入れ不足によって生じた傷や汚れは、修繕費を請求される可能性があります。

家具を引きずってできた大きな傷

ベッド、学習机、本棚などを持ち上げずに移動し、床に大きな引っかき傷をつけた場合は、入居者負担になりやすい例です。

特に卒業や住み替えの引越し作業では、短時間で荷物を運ぼうとして家具を引きずってしまうことがあります。

重い家具は一人で無理に動かさず、複数人で持ち上げるか、床を十分に養生してから移動しましょう。

引越し業者の作業中に傷がついた場合は、その場で写真を撮り、速やかに引越し業者と管理会社へ連絡してください。

飲み物を放置してできた染み

飲み物や調味料などをこぼし、そのまま放置して床に染みや変色が残った場合は、入居者負担になる可能性があります。

水分が床材の継ぎ目から内部へ入り込むと、表面の清掃だけでは直らず、部分的な張り替えや下地の補修が必要になることもあります。

飲み物をこぼしたときは、すぐに拭き取り、床材に適した方法で清掃することが大切です。

結露や清掃不足によるカビ

仙台の冬は、暖房による室内外の温度差から、窓周辺に結露が発生することがあります。

結露や水分を長期間放置し、床にカビ、腐食、変色が生じた場合は、手入れ不足として入居者負担になる可能性があります。

一方、建物の断熱性能、配管の不具合、雨漏りなどが主な原因であれば、貸主側の修繕範囲になることもあります。

結露をこまめに拭き取っても床が濡れる場合や、原因不明の水分が発生している場合は、写真を撮って管理会社へ相談しましょう。

重い物を落としてできた破損

ダンベル、家電、家具の部品など、重い物を落として床を割ったり深くへこませたりした場合は、入居者負担になりやすいでしょう。

表面だけの小さな傷に見えても、床材の内部や下地まで破損していることがあります。

市販の補修剤を使うとかえって傷が目立つこともあるため、大きな傷は自己判断で補修せず、管理会社へ相談してください。

キャスター付き椅子による著しい傷

東北大学生の一人暮らしでは、勉強やオンライン授業のために、キャスター付きのデスクチェアを長時間使用することがあります。

キャスターを床の上で繰り返し動かし、広い範囲に傷、へこみ、表面の剝がれなどが生じた場合は、入居者負担になる可能性があります。

使用前に椅子の下へ保護マットを敷きましょう。マットは床材に対応した製品を選び、湿気や色移りが発生していないか定期的に確認してください。

床材によって修繕方法と費用が異なる

床の修繕費は、床材、施工面積、下地の状態、部分補修の可否などによって大きく異なります。

そのため、一律の金額だけで請求が適正かどうかを判断することはできません。ここでは具体的な相場ではなく、請求を受けたときに確認したい修繕範囲や計算項目を中心に解説します。

床材貸主負担になりやすい例入居者負担になりやすい例主な確認項目
フローリング日焼け、通常使用による軽微な傷、家具跡引きずり傷、落下による破損、水分の放置部分補修か全面張り替えか
クッションフロア通常設置した家具のへこみ、自然な変色切り傷、焦げ、染み、著しいキャスター傷施工範囲と経過年数
カーペット通常使用による摩耗、家具跡飲み物の染み、焦げ、清掃不足によるカビ汚れの範囲と張り替え範囲
日焼け、自然な変色飲み物の染み、焦げ、カビ、破損表替え特約の有無
フローリング・クッションフロア・カーペット・畳の修繕確認ポイント
フローリング・クッションフロア・カーペット・畳の修繕確認ポイント

フローリング

フローリングの修繕方法には、傷の補修、部分張り替え、全面張り替えなどがあります。

国土交通省のガイドラインでは、フローリングの部分補修について、原則として経過年数を考慮しない考え方が示されています。一方、床全体を張り替える場合は、建物の経過年数などを踏まえて負担割合を考えるものとされています。

ただし、部分補修であれば必ず入居者が全額を負担するという意味ではありません。最初に、傷が入居者の責任によって生じたものかを確認する必要があります。

実際の負担は、傷の原因、補修の可否、床材の種類、施工範囲、契約内容などによって判断されます。

クッションフロア

クッションフロアは、弾力性のあるシート状の床材で、学生向け賃貸物件でもよく使われています。

通常設置した家具による軽微なへこみは、通常損耗と判断されることがあります。一方、家具の引きずりによる切り傷、飲み物の染み、キャスター椅子による著しい傷などは、入居者負担になる可能性があります。

国土交通省のガイドラインでは、クッションフロアは経過年数を考慮する床材として整理され、一般的な目安として6年が示されています。

ただし、6年を経過すれば、修繕に関する請求が必ずゼロになるという意味ではありません。損傷の原因、施工範囲、施工費、賃貸借契約書の内容などによって判断が異なります。

カーペット

通常の家具跡や日常使用による摩耗は、貸主負担となることがあります。

一方、飲み物を放置した染み、たばこや暖房器具による焦げ、清掃不足によるカビなどは、入居者負担になりやすい例です。

カーペットについても、国土交通省のガイドラインでは経過年数を考慮する考え方が示されています。

汚れが一部分であっても、同じ製品を用意できないなどの理由から、一定範囲を張り替える場合があります。請求を受けたときは、張り替え範囲とその理由を確認しましょう。

畳の日焼けや自然な変色は、一般的に通常損耗・経年変化として扱われます。

一方、飲み物による染み、たばこや加熱器具による焦げ、手入れ不足によるカビなどは、入居者負担になる可能性があります。

畳は、「畳表」と内部の「畳床」で経過年数の考え方が異なるため、請求書ではどの部分を修繕するのか確認してください。

なお、仙台の賃貸物件では、退去時の畳の表替え費用を借主負担とする特約が設けられていることがあります。自然な日焼けであっても、特約に基づいて費用を求められる場合があるため、賃貸借契約書を確認しましょう。

特約があれば、どのような請求でも当然に認められるわけではありません。特約の内容が明確か、契約時に説明があったか、入居者が理解して合意したかなども確認事項になります。

床材ごとの経過年数や修繕単位については、国土交通省の資料も参考にしてください。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

床の全面張り替えを請求されたときの確認事項

床の一部に傷があるにもかかわらず、部屋全体の張り替え費用を請求された場合は、すぐに妥当・不当と決めつけず、請求の根拠を順番に確認しましょう。

傷の範囲と張り替え範囲

最初に、どこに、どの程度の傷があるのかを写真や現地確認によって把握します。

そのうえで、部分的な補修では対応できない理由や、全面張り替えが必要と判断された理由について説明を求めましょう。

床材の色や柄をそろえる必要がある場合でも、傷の程度に対して請求範囲が適切かを確認することが重要です。

床材の使用年数

床材がいつ施工されたものなのか、入居前から何年使用されていたのかを確認します。

「床材が使われた年数」と「現在の入居者が住んだ年数」は、必ずしも同じではありません。

経過年数の扱いは床材や修繕方法によって異なります。クッションフロアやカーペットと、フローリングの部分補修を同じ方法で計算するとは限らない点にも注意しましょう。

単価・面積・施工内容

見積書や敷金精算書では、少なくとも次の項目を確認します。

  • 修繕する場所
  • 床材の種類
  • 施工面積
  • 材料の単価
  • 施工費
  • 床材の撤去・処分費
  • 下地補修の有無
  • 部分補修ができない理由
  • 入居者の負担割合
  • 経過年数の計算方法

「床補修費一式」とだけ書かれている場合は、請求範囲や計算根拠を判断しにくいため、必要に応じて詳しい内訳を確認してください。

賃貸借契約書の特約

賃貸借契約書に、床の修繕、ハウスクリーニング、畳の表替えなどに関する特約がないか確認します。

特約がある場合は、次の点を見ておきましょう。

  • 負担する内容が具体的に書かれているか
  • 金額や計算方法を確認できるか
  • 契約時に説明を受けているか
  • 入居者が内容を理解して合意しているか
  • 今回の請求内容が特約の範囲に含まれているか

特約に記載があるだけで、どのような請求でも認められるとは限りません。内容に疑問がある場合は、管理会社や貸主へ説明を求めましょう。

請求額が高いと感じた場合の確認手順については、次の記事で詳しく解説しています。

▶【関連記事】賃貸の退去費用が高いと感じたら?請求内容の確認方法と相談先

床の傷を防ぐために入居中からできること

床の修繕トラブルを防ぐためには、入居中から次の対策を行いましょう。

  • キャスター付き椅子の下に保護マットを敷く
  • 学習机やベッドの脚に保護パッドを付ける
  • 重い家具は引きずらず、持ち上げて移動する
  • 引越し時は床や廊下を養生する
  • 冷蔵庫や洗濯機の周囲を定期的に確認する
  • 飲み物をこぼしたら、すぐに拭き取る
  • 結露や水漏れを発見したら早めに対応する
  • 床の浮きや変色などの異常を管理会社へ報告する
  • 入居時と退去前に床の写真を撮る
デスクチェアの下に保護マットを敷き家具の脚に保護パッドを付ける学生
保護マットや家具用パッドを使い、床材への傷やへこみを防ぎましょう。

保護マットや滑り止めを使用する場合は、床材に対応しているか確認してください。ゴム製品や粘着性のあるシートを長期間敷くと、色移りや変色が生じることがあります。

また、市販の補修剤を使用すると、色が合わなかったり、かえって傷を目立たせたりすることがあります。大きな傷は自己判断で修理せず、管理会社へ相談しましょう。

退去時には、床だけでなく壁紙の傷や汚れも確認されます。画びょうの穴、家具による擦れ、結露によるカビなどの負担区分については、次の記事をご確認ください。

▶【関連記事】賃貸の壁紙の傷・汚れは誰が負担する?退去時の原状回復費用を解説

床の原状回復に関するよくある質問 Q&A

Q、学習机やベッドのへこみは請求されますか?

学習机やベッドを通常の方法で設置したことによる軽微なへこみは、通常損耗として貸主負担になることがあります。

ただし、家具を引きずった傷や、鋭い脚による深い破損などは、入居者負担になる可能性があります。

Q、冷蔵庫や洗濯機を置いた跡は入居者負担ですか?

生活に必要な家電を所定の場所へ通常設置したことによる跡は、通常損耗と判断されることがあります。

一方、水漏れや汚れを放置して床を腐食・変色させた場合は、入居者負担になる可能性があります。

Q、キャスター付き椅子の傷は入居者負担ですか?

キャスターを繰り返し動かしたことで、広い範囲に著しい傷や剝がれが生じた場合は、入居者負担になる可能性があります。

椅子の下に床材対応の保護マットを敷くと、傷の予防につながります。

Q、6年以上住んでいれば床の修繕費はかかりませんか?

6年を経過したからといって、すべての床材の修繕費が自動的にゼロになるわけではありません。

床材の種類、部分補修か全面張り替えか、損傷の原因、施工費、賃貸借契約書の内容などによって判断が異なります。

Q、小さな傷でも全面張り替え費用を請求されますか?

床材の種類や補修方法によっては、一定範囲の張り替えが必要になることがあります。

請求を受けたときは、傷の範囲、部分補修ができない理由、施工面積、単価、床材の使用年数を確認してください。

Q、引越し業者が床を傷つけた場合はどうすればよいですか?

傷を発見したら、その場で写真を撮り、引越し業者と管理会社の双方へ連絡してください。

時間がたつと、いつ、誰がつけた傷なのかを確認しにくくなります。作業完了の確認書へ署名する前に、室内や共用部を確認しましょう。

Q、自分で床の傷を補修してもよいですか?

小さな傷でも、管理会社の承諾を得ずに補修すると、色や材料が合わず、追加の修繕が必要になる場合があります。

特に、床を削る、塗る、接着するなどの作業は避け、先に管理会社へ相談する方法が安心です。

床以外の原状回復費用も確認しましょう

床の修繕費を判断するときは、傷が付いた原因だけでなく、入居期間、床材の種類、修繕範囲、通常損耗や経年劣化に該当するかも確認することが大切です。壁紙などほかの修繕項目も請求されている場合は、それぞれの内訳を分けて確認しましょう。

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まとめ

賃貸物件の床に傷やへこみがあっても、すべて入居者負担になるわけではありません。

日常生活による細かな傷、通常設置した家具の跡、日焼け、自然な変色などは、通常損耗や経年変化として貸主負担になることがあります。

一方、家具の引きずり傷、放置した飲み物の染み、清掃不足によるカビ、重い物を落とした破損、キャスター椅子による著しい傷などは、入居者負担になる可能性があります。

全面張り替え費用を請求された場合は、次の順番で確認しましょう。

  1. 傷の原因と範囲を確認する
  2. 部分補修ができない理由を確認する
  3. 床材の種類と使用年数を確認する
  4. 面積・単価・施工内容を確認する
  5. 賃貸借契約書の特約を確認する
  6. 写真や書類をそろえて管理会社へ説明を求める

請求内容に疑問がある場合は、すぐに支払いを拒否したり、内容を確認せず同意したりせず、入居時・退去時の写真、契約書、見積書、敷金精算書などをそろえて確認することが大切です。

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